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官公需(官公庁等が発注する案件)は価格転嫁できる?

2024/05/29

こんにちは。衆議院議員の浅野さとしです。
5月22日の内閣委員会で官公需の価格転嫁について質問しました。

■官公需法に関する指針による価格転嫁について

「官公需」は、国や独立行政法人、地方公共団体等が、物品を購入したり、サービスの提供を受けたり、工事を発注したりすることです。国は、中小企業者の官公需の受注機会を増大するために、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」(官公需法)に基づいて、中小企業者向けの官公需契約目標や目標達成のための措置を内容とする「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を毎年度閣議決定し、公表しています。

【中小企業者に関する国等の契約の基本方針】
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kankoju.html#K01

令和5年度の官公需法に関する指針の中で、労務費や原材料費等の高騰を理由に契約(価格)変更が可能と明記されている公共工事については、939件の契約変更が行われました(令和4年度)が、 情報システム開発等の役務については、「検討する」旨の記載に留まっていました。

●浅野

「例えば、国等が発注する契約期間が複数年に跨る情報システムの開発について、これまでどの程度発注が行われ、官公需法に関する指針を受けて、実際に契約変更に至った案件は何件あるのか。」

●山本政府参考人(中小企業庁)

「中小企業庁の調査によると、国の各機関が令和元年4月から令和6年4月までに締結した情報システムに関する契約は2,993件。そのうち、労務費、原材料費、エネルギー費のいずれかの高騰を理由に契約変更を行ったものは2件となっている。」

浅野の指摘により、公共工事以外の役務等について契約変更の事例が少ないことが分かり、令和6年度の指針から労務費や原材料費等の高騰が契約変更の理由となる旨が明記されました。賃上げの継続に向けて、今後も状況を確認していきます。

■官公庁等が発注する案件の価格転嫁について

官公需法に関する指針は、中小企業者の受注確保を推進するためのものであり、大企業や中堅企業は含まれません。
大企業や中堅企業における労務費や原材料費等の価格転嫁については、公正取引委員会が公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に対する指針」(令和5年11月29日)に基づくものとされますが、内容は民間企業同士の取引に関する印象がありました。

【労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針】
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/romuhitenka.html

●浅野

「『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に対する指針』の“発注者”には、官公庁等も含まれるのか。また、本指針は中小企業以外も対象になるのか。」

●古谷公正取引委員長

「『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に対する指針』は、複数年契約で行われる官公庁の入札においても、その趣旨は妥当するものである。また、発注者側、受注者側の業種や規模を限定するものではない。」

官公庁等が発注する案件においても、労務費の価格交渉が可能であると明確な答弁がありました。また、指針の周知について、総務省から各自治体へ通達、特に情報サービス産業や技術サービス業の“労務費”の転嫁に言及されていることも確認しました。

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