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衆議院内閣委員会質疑 高市早苗氏に問う セキュリティクリアランスの現状

2023/11/08

皆さん、こんにちは。衆議院議員の浅野さとしです。
11月8日の内閣委員会でセキュリティクリアランスについて高市国務大臣に質問しました。

●浅野委員 

まず、根本的な質問ですけれども、経済安全保障上重要な情報として指定する情報の対象範囲ですね、今様々な検討が加えられていると思うのですけれども、やはり、民間企業、現場からの不安として、政府保有の情報に限られるのか、民間が所有する情報も含まれる可能性があるのか、ここについて伺いたいのと、あわせて、セキュリティクリアランス導入企業というものは手挙げ式なのか、指名式も含まれるのか、この二点を教えていただきたいと思います。

●高市国務大臣 

まだ法律案を国会にお示ししていない段階ですので、あくまでも見通しとしてしかお答えできませんけれども、有識者会議の中間論点整理を御覧いただいたかと思いますが、そこでは、「経済安全保障上重要な情報を指定していくに当たっては、我が国として真に守るべき政府が保有する情報に限定し、そこに厳重な鍵をかけるというのが基本的な考え方である。」とされております。また、制度の対象となる事業者でございますけれども、政府から制度の対象となる情報の共有を受ける意思を示した民間事業者など及びその従業者であって、対象となる情報へのアクセスを真に必要とするものとされております。

ですから、今後、この考え方に沿って、さらに最終的な取りまとめに向けた議論を有識者会議で続け、先生方に次期通常国会でお示ししたいと考えております。

●浅野委員

ありがとうございます。明確に確認できる答弁だったかと思います。

続けてなんですが、そうなりますと、やはり、セキュリティークリアランス制度を見据えて、今から各民間事業者が、自分たちがこのセキュリティークリアランス制度を活用してより事業の幅を広げられるのかどうか、そうするためにはどのような準備が必要かというのを考え出している企業もあると思いますが、まだまだ軟らかい状態ではあるものの、私のところに届いている声として、セキュリティークリアランスを導入するためには、やはりセキュリティー対策がしっかりした施設で、きちんと運用しなければいけないということになるのかなというふうに予想しております。

例えば、民間事業者でもセキュリティーレベルの高い専用区画を設けたりとかしないといけないのであれば、非常にそこはコストがかかる問題にもなります。特に、大企業ならそれを耐えられるかもしれないですけれども、防衛産業ですとか様々な機微な製品、技術を取り扱う中小企業もあります。

中小企業がセキュリティクリアランス制度の適用を受けようとしたときに、ハイレベルなセキュリティーを確保できる、担保できるような施設を自社に確保しなきゃいけないとかなった場合に、ハードウェアなのかソフトウェアなのか分かりませんけれども、そこに対する設備投資、設備導入費用を抱えられるのかという不安もあるというふうに聞いています。

ここについては要望なりますが、是非、大企業のみならず中小企業も恐らく該当する企業は出てくると思います、それに備えて導入支援を政府としても考えていくべきではないかと思うのですが、大臣の見解を伺いたいと思います。

●高市国務大臣 

確かに、大企業だけじゃなくて中小企業も、日本政府の調達に入りたいとか、海外の政府調達に入りたいとか、また、海外では割と民間企業同士のお取引でもクリアランスを持っているかどうかと聞かれるような場合もありますので、必要だということで手挙げをされる企業も出てくると思います。

これも中間論点整理ですが、政府と同様に適切な情報保全の観点から専用の区画や施設を設ける必要があり、民間事業者等にとっては少なからぬ負担になると指摘された上で、こうした民間事業者などにおける保全の取組に対する支援の在り方について、合理的な範囲内で検討していく必要があるとされました。

まさに浅野委員の問題意識と共通していると思いますので、しっかり配慮しながら検討してまいります。

●浅野委員

次の質問は、今度は労働者個人の目線から見たときの問題意識ですけれども、やはり、これまで特定機密情報を取り扱えるのは公務員だけ、民間の人がそういうセキュリティクリアランスのようなものを受けるのは初めてだということで、過去に例がないということで、ちゃんと事前に制度の説明、もしこれを破ってしまったときの罰則であったりとか、そのときどうなるのか、どういうリスクがあるのかという説明であったり、日常活動の中でどんな制約を受けるのかみたいな、そういうところまでちゃんと理解していただかなければいけないと思います。

日本の民間企業の中では基本的にセキュリティクリアランスそのものがありませんでしたので、どの企業も初めての取り組みですね。やはりこれは、ちゃんと会社側から対象者に対して丁寧な説明が必要ですし、会社内でどのような運用をしていくのかについても、ある種の労使間の合意形成が必要だと思います。

政府には、事業者に対して事前に十分な情報提供を行うのはもちろんですけれども、経済界や労働界の準備状況を十分に把握し、その内容を尊重して進めていくような仕組みづくり、例えば合議体とか、こういったものが必要ではないかとも考えるのですが、現時点で大臣のお考えを伺えればと思います。

●高市国務大臣

今、日本にある唯一のセキュリティクリアランス制度になりますが、特定秘密保護法がございます。あれは、外交、防衛、テロ、スパイという四分野に限定されていますので、ごくごく僅か、民間の方が3%ほどクリアランスを持っていますが、それは防衛省の調達に入っていらっしゃるような企業のごく限られた方々でございます。

今後、国会でお認めいただいたら、こういうセキュリティクリアランス制度が経済安全保障版ということでもう少し対象が広くなってきますが、やはり、中間論点整理でも、まず、本人の意思に反して調査が行われるようなものではないということ、また、クリアランスを真に必要とする者の任意の了解の下で行われるものだということ、それから、既存の制度、つまり特定秘密保護法でも丁寧な手順を踏んで本人の同意を得て調査を行うことが大前提になっておりますので、労働法制も踏まえまして、プライバシーの関係、従業者の処遇への影響の考慮も含めて対応していかなきゃいけないということを考えております。

また、その制度を詳しく、ちゃんと正しく理解していくための広報活動、説明の場も設けてまいります。有識者会議にも、連合の皆様、また各経済団体の代表の皆様にも御参加いただいております。

SC制度の適用にあたり、政府が民間の所有する情報を指定することはないのか、また、政府が事業者にSC制度の適用を強要することがないか、議論の状況を確認しました。中小企業がセキュリティクリアランス制度の適用を受ける場合、ハイレベルなセキュリティー施設(ハードウェア、ソフトウェア問わず)のための設備導入費用を抱えられるかという不安がありますが、政府からは前向きな答弁を得ました。

また、現行の特定秘密保護法においては、特定のアクセス権を持っている方に制限がかかっています。セキュリティクリアランス制度を適用する企業は、本人同意を前提に、しっかりと内容や処遇について従業員に説明することが必要です。議論中の部分も多いため、今後の動向を注視していきます。ぜひ、ご意見・ご要望をお寄せください。

↓YouTube動画はこちら

内閣委員会質疑 浅野さとし 高市早苗氏に問う セキュリティクリアランスの現状(2023年11月8日)https://www.youtube.com/watch?v=E62x5fUTSVI&t=97s

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